ジョージ・マーティン最大の功績はこの曲

ジョージ・マーティン

知る人ぞ知るレコード・プロデューサー。

 

あのビートルズのレコードをプロデュースした男だ。

彼が今日、90歳でこの世を去ってしまった。

 

ロンドンのEMIの中で「反抗的な変わり種」だった彼は、ビートルズをデビューさせようと奔走していたマネージャーのブライアン・エプスタインの持ち込んだレコードに興味を持つ。

もともとクラシックのレコードをプロデュースしていた彼は音楽的な造詣が深く、その後のビートルズのレコーディングに欠かせない存在となる。

ロック史上最高傑作のひとつとされるアルバムSGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BANDや、ABBEY ROADは彼抜きでは成し得なかったかもしれない。

 

ビートルズの音楽のほぼ全てに携わった彼だが、その中で最も偉大な仕事といえるのはどれだろう?と問われたならば、僕は迷わずこの曲を挙げたい。

 

♪プリーズ・プリーズ・ミー Please Please Me


THE BEATLES : Please Please Me - instrumental cover

 

ビートルズのセカンドシングルだ。

(↑のYouTubeは僕の宅録ですごめんなさい)

 

彼はこの曲で2つ重要な仕事をした。

 

仕事その1:オリジナル曲を採用した

デビュー曲のLove Me Doジョン・レノンポール・マッカートニー作のオリジナル曲。チャート16位まで到達した。最初にしては悪くなかったがジョージ・マーティンは不満で。セカンドシングルにはプロの作曲家によるHow Do You Do Itという曲を用意した。

レコーディングを済ませたものの、ビートルズの面々はオリジナル曲を出したいと強く希望。Please Please Meを書き換えたものを持ってきた。

結果、ジョージ・マーティンはオリジナル曲のPlease Please Meを選択。

魅力的な曲だったとはいえまだまだ荒削りなオリジナル曲よりも、無難にまとまったプロの曲の方が安全に戦えたはず。しかしそこで彼はあえてオリジナル曲を選んだ。このことは1曲のチャートの結果のみならず、プロデューサーとバンドとの信頼を強くしたという意味で重要な選択だったと思う。

 

仕事その2:「テンポを上げたらどうだろう」と提案した

ジョンとポールがセカンドシングル用に用意したこの曲はもともとはロイ・オービソンを意識したスローなナンバーだった。「シングル用に」とプロデューサーにアピールするのだから彼らにとっては自信作だったはずだ。

ところがジョージ・マーティンはこれをそのままは受け入れなかった。但し、無碍に拒絶もしなかった。そこでこんなアドバイスをしたんだそうだ。

「テンポを上げてみたらどうだろう」

これがどんな結果をもたらすか彼自身も想像はできなかっただろう。

このアドバイスで曲は生まれ変わった。

もしオービソンっぽいアレンジのままだったらヒットしたかどうか疑わしい。そしてもしこのセカンドシングルでコケてしまっていたら、その後ビートルズが存在し続けていたかどうかもあやしい。ポールはトラックの運転手になっていたかもしれない。

 

というわけで、僕はこの曲こそがビートルズジョージ・マーティンにとって最初にして最大のポイントだったと思っている。

 

その後もビートルズだけでなく、多くの素晴らしい音楽を世に送り出してくれたジョージ・マーティン

 

本当にありがとう。

 

どうか安らかに。